~エンディングノートを手に取る前に~
実際にエンディングノートに取り組む前に、「終活」の準備について確認していきましょう。
まず真っ先に考えるべきは、「誰に託すのか?」と言うことです。
エンディングノートを作成する目的は、書くこと自体ではなく、遺志を継ぎ自分の思いを実現してもらうことにあります。
そのために自分の信頼できる人、そしてまた自分を理解してくれる人に託すことが、重要になります。
信頼できる人が自分の周りにいる場合は、その人に話をしてみてください。
自分の思いを話す中で、相手も自分を心配してくれていることが分かれば、信頼の絆もより深いものになるでしょう。
あくまでも自分の気持ちや感覚といったものを大切にして選び、理詰めで選ぶのはやめましょう。
また自分の周りに適任者が思い浮かばないという方も、少なくないと思います。
そんな場合は、行政書士などの専門職と<任意後見契約>を結び、将来の不安解消のパートナーとすることも選択肢の一つになります。
その場合もきちんと相手の人柄を見て、気持ちの合う人や、考え方の方向が同じ人を選んでください。
託す相手を選びつつ、同時にエンディングノートの用意も少しずつ始めます。
エンディングノートのメインテーマは、将来に対する不安や心配事を整理し、その対策を考えることです。
その観点から記録すべきポイント挙げると、次の通りです。
・思い出の整理(自分史・家族や友人へのメッセージ)
・物の扱い(写真・日記・コレクション・PCやスマートフォンの処理)
・財産管理や身の回りの世話(認知症になった場合の対応、ペットについて)
・介護について(施設や介護方法の希望)
・終末医療の意思表示(延命治療について)
・葬儀やお墓に関すること(誰に知らせて欲しいか、葬儀の形式、墓のスタイル)
・相続について(遺言書の作成)
これらのポイントは更に、①ノートにまとめ自分の思いを正確に伝えれば済む項目、②公正証書などの契約書を用意すべき項目の他に、③遺言の作成が必要になる項目、などに分かれます。
それぞれの項目の特性に沿った対応をすることが、大変重要になります。
繰り返しますが、エンディングノートを書く一番の目的は、「課題の洗い出しと不安の除去」です。
日常生活を送る中で、何となく心に引っかかること、心配な問題、不安な状況などを、まずは洗い出し、一つずつ対策を立て将来の不安を消していきます。
エンディングノートも遺言も、生きている間は何度でも書き直しが可能です。
状況に変化があれば、その部分を書き直し、バージョンアップをして行くことができます。
最悪なのは、心配や不安を感じながら気づかないふりをして、あるいは面倒だと後回しにして、日々を何となく過ごしてしまうことです。
不安や心配を目の前に並べて整理してみると、それだけで案外気持ちが落ち着くものです。
落ち着いた気持ちで将来の設計を静かに考えることは、心の中に安心を生む作業となって行くはずです。
そしてそれは、しだいに楽しみに変わってくることと確信します。
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