「子供がいない」とか、「前婚の相手との間に子供がいる」とか、「内縁関係のパートナーに財産を残したい」などの事情がある方は、真剣に対策を考え遺言の準備をしている事と思います。
しかし特別な事情がない人にとって、遺言は不要不急なツールなのでしょうか?
相続財産の大半が不動産だと言うケースは、一般にかなり多いと思います。そのような状況の時こそ、遺言を作成しておくことが、後の争いの回避関して大変有効になります。
分筆できるような広い土地であれば、共有せずに分けることも可能でしょう。
しかしそうでない場合、あるいは家屋などに関しては、どのように分けるのでしょうか?不動産の共有は問題の先送りに過ぎないと言っても過言ではないでしょう。
このようなケースでは自身の思いや意思を反映した遺言を残し、親としての深い思慮を示す意味があります。
一方、財産が少ないから争いの心配はないというのは、実は説得力のある根拠ではありません。
家裁の統計(平成24年度)では、遺産分割事件の財産額は1千万円以下が32%、1千万円超~5千万円以下で43パーセントとなっています。
つまり(平成24年度)家裁が取り扱かった遺産分割事件のうち、実に75%が財産額5千万円以下と言う事です。
財産額が5千万円以下と言う金額は、自宅プラス預貯金で直ぐに到達してしまいそうな金額です。
子供達が仲良く遊んでいた幼少期のイメージが、親の頭の中にはいつまでも残っている事だと思います。
親から見れば、子供はいくつになっても子供です。
しかし実際には子供達もそれぞれに家庭を持ち、自分の子を育て学費などの負担がかかってくるなど、状況は時の流れと共に変化しています。
幼い頃のようなシンプルな関係が、いつまでも続いている訳ではありません。
近頃「争族」と言う言葉が、キーワードのように使われています。
それ迄何事もなく仲良くしていた兄弟姉妹の関係が、遺産分割に直面した途端に、ちょっとしたボタンの掛け違いから、争いに発展することは多くあります。
遺言を残す事により、心配のない相続を実現しましょう。
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